会社設立初年度は、売上がなかなか上がらず資金繰りに窮することが多いのは日本に限らず台湾も同様です。特に、台湾で現地法人を設立した場合ですと、日本の親会社とは別の法人格となり、信用力はゼロからスタートすることになるため、運転資金が不足したからといって、すぐに地場の銀行から融資を受けることは現実的には難しいと言えるでしょう。このため、一般的には、日本親会社から融資してもらう、つまり親子ローン契約を締結して資金繰りを行うケースが多いです。
親子ローンといっても、日台間の国際資金取引となるため、予め所定手続きや要件等を準備する必要がありますのでご留意ください。具体的には借入期間と用途によって、台湾経済部投資審議委員会への届出要否が異なります。
①借入期間が1年未満の場合かつ、当該資金の用途が再投資目的ではない場合
例えば、台湾子会社が日本親会社に運転資金を融通してもらう場合で、当該借入期間が1年未満の場合には、親子会社間でローン契約を締結するのみとなります(銀行側で別途中央銀行への届出等は必要になる場合はあります)。経済部投資審議委員会への届出は特に必要ありません。但し、借入利率の設定については移転価格税制を配慮し、一般的な相場水準に合わせておく必要がありますので親子会社間だからといって、不当に低い、または高い金利を設定することはできません。
②借入期間が1年以上の場合または、当該資金を再投資目的で使用する場合
例えば、借入れた資金で別の企業を買収する場合等がこれに該当します。その場合には、経済部投資審議委員会への届出が必要になります。届出時に提出する書類の中にはローン契約書のほか、返済計画書等が含まれます。投資審議委員会で受理された後は上記同様に中央銀行への届出を行います。なお、必要書類の一部は日本側での公証が必要になりますので時間に余裕をもって準備されることをお勧めします。