台湾進出

台湾の監査制度

台湾における監査制度には「財務監査」と「税務監査」の二種類があります。

財務監査

財務監査とは、会社の財務諸表が台湾の一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠して作成されているかを第三者の立場から確認し、意見を表明する制度です。 次のいずれかに該当する場合は財務監査を受けることが義務付けられています。

  • 資本金NTD3,000万以上
  • または銀行からの借入金や保証がNTD3,000万以上
  • 年間営業収入総額(営業収入と営業外収入の合計)がNTD1億以上
  • 従業員数が100名以上

この財務監査においては、台湾の会計士財務諸表監査規則 および台湾で一般に公正妥当と認められた監査基準(ROC GAAP)に準拠した監査手続きが行われます。

税務監査

税務監査は、外部の会計士が会社の税務計算が適切に行われているかを法人税監査準則に基づいて項目ごとに調査を行い、税務申告時にその結果をあわせて報告する制度です。次のいずれかに該当する場合は会計士による税務監査を受け、会計士による証明書を税務申告書に添付することが義務付けられています。

  • 銀行、信用組合、保険会社、投資信託会社、ファイナンシャルリース会社、 証券および先物会社
  • 公開会社
  • 年間営業収入総額(営業収入と営業外収入の合計)がNTD1億以上
  • 法令により法人税の優遇を受けている会社で、総収入(営業収入と営業外収入の合計)がNTD5,000万以上の会社
  • 金融持株会社法あるいは企業合併法により連結納税する会社

税務監査を受けているといくつかの優遇措置があるため、強制適用にあたらなくても、多くの会社は会計士による税務監査を自発的に受けています。

税務監査を受けるメリット
  1. 欠損金の繰越控除: 台湾においては、欠損金は原則として、将来年度の所得と相殺することができません。しかし、税務監査を受けている会社には、欠損金の10年間の繰越控除が認められています。
  2. 交際費損金算入限度枠の拡大:交際費には、税務上の損金算入限度枠がありますが、税務監査を受けている会社の場合には、交 際費の損金算入限度枠が拡大されます。
  3. 税務当局による直接調査の回避:税務調査がないわけではありませんが、税務調査にあたって、まず会社ではなく、税務監査担当の会計士に対して質問がなされますので、税務調査対応の手間が軽減されます。
項目 内容 対象
決算書申告 会社法の規定に基づき各社が株主総会の承認を経た決算書を主務機関に申告するもの   会社法の規定に基づき設立した全事業者
財務監査 会計準則に基づく監査

下記のいずれかに該当する場合、提出義務がある。

  1. 払込資本金3,000万元以上の企業 
  2. 払込資本金3,000千万元未満であるが年間営業収入1億元以上or労働保険加入従業員100名以上の企業
  3. 銀行借入限度額が合計3,000万元以上の企業
  4. 公開企業
  5. 私立学校
  6. 総資産1億元以上または年間営業収入1,000万元以上の教育財団法人  
税務監査 税務規定に基づく監査

下記のいずれかに該当する場合、提出義務がある。

  1. 金融業
  2. 公開企業
  3. 年間営業収入5,000万元以上の産業創新条例等の免税対象企業
  4. 上記1.~3.以外の年間営業収入1億元以上の企業  
資本金監査 会計準則に基づく監査 設立時、資本変動がある場合(増資、減資)に必要

 

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