日台M&A

台湾M&Aと課税

台湾での株式を譲渡する際、証券(株券)の発行有無により「証券取引」と「財産取引」に分けて課税されます。また、株式ではなく資産譲渡(事業譲渡)については、取引対象資産の取引価額に営業税5%が課されます。

株券が発行されている場合

株券発行した株式を譲渡する場合、證券交易稅條例(証券取引税条例)1条及び公司法(会社法)162条で規定する有価証券取引に該当するため、売却価格に対し0.3%の証券取引税が課されます。証券取引に係る譲渡益については現在、所得税の徴収は停止されていますが、ミニマムタックス税制の基本所得に含めるため、実質的に譲渡益課税となる場合があります(所得基本税額条例7条及び8条)。

法人の場合50万元までを免税とし12%の税率を適用、個人は670万元までを免税とし20%の税率が適用して計算します。なお、非居住者(外国法人・台湾滞在期間183日未満の外国人等)はミニマムタックス税制の課税対象外ですので免除されます。

株券未発行の場合

株券を発行しない場合には有価証券取引には該当せず財産取引(財政部80.4.30台財税第790191196号の通達規定によれば、株券未発行の株式を処分する行為は証券取引ではなく財産取引に属する)となりますので財産所得を課税所得に含めて計算します。

法人の場合は法人税率20%、個人の場合は28%の分離課税か超過累進税率5%~40%の総合課税かのいずれかを選択することになります。なお、非居住者(外国法人・台湾滞在期間183日未満の外国人等)は源泉税20%が課されます。

譲渡価格のめやす

取得価額よりも高い価格で譲渡すると譲渡益が生じるので課税されます。したがって、税負担をできるだけ少なくしたいのであれば譲渡価格を1株当たりの簿価純資産と同額にするのがよいでしょう。

*財産取引所得=譲渡金額-(取得原価+譲渡経費)ここでいう取得原価とは出資額または取得価額を指します。

株式譲渡益課税
  売主のステイタス
台湾居住者 台湾非居住者

証券取引(株券発行)

所得税は停止中※但しミニマムタックス税制の考慮が必要

  • 法人:現在12%、免税額50万元
  • 個人:現在0%(2021年以降20%、免税額670万元)
非課税
証券取引税0.3%

財産取引(株券未発行)

  • 法人:20%
  • 個人:0~40%
源泉税20%
納税義務者と負担者
  納税義務者

源泉徴収義務者

(売手が台湾非居住者の場合等)

納税負担者
証券取引税 金融機関/売手 買手 売手
証券取引所得 売手 n.a. 売手
財産取引所得 売手 n.a.* 売手

*納税義務者が台湾非居住者の場合、買手が源泉徴収を行うケースもあります。

事例
1. 株券未発行の場合→財産取引

A氏は2016年1月5日に個人で100%保有するT有限公司(有限会社)の持分(出資額50万元)をB氏に譲渡した。譲渡価格は200万元で譲渡経費として仲介業者に3万元を支払った。

A氏の売却益は、譲渡価格200万元-(出資額50万元+譲渡経費3万元)=147万元 となります。したがって、A社は2016年度の個人総合所得税の計算において、上記財産所得147万元を合算し、合算後の課税所得に基づく累進税率で申告します。なお、株主が法人の場合には法人税率を乗じます。

2.株券発行の場合→証券取引

A氏は2016年1月5日に個人で100%保有するT股份有限公司(株式会社)の株式(資本金50万元、非上場会社株式、規定の株券発行済)をB氏に譲渡した。譲渡価格は200万元で譲渡経費として仲介業者に3万元を支払った。

会社法の所定の株券を発行しているため、証券取引行為に該当します。このため、証券取引税として、譲渡価格200万元×0.3%=6千元 が課され、売却益に対する課税はなしとなります(証券取引所得税の課税は停止中)。※2021年からは別途ミニマムタックス税制で計算した基本税額との比較が必要です。

その他関連税目

株式を売買する際は、上記でご紹介した所得税の他にも下記の関連手続きが必要です。

税務徴税法
  • 15条:合併時の存続企業側の納税義務
所得税法
  • 65条:解散廃止合併譲渡時の資産評価
  • 75条:決算、清算申告
  • 92条:源泉税の申告納付
  • 102条:配当収益票と未処分利益追加申告納付
営業税法
  • 30条:変更(抹消)登記
  • 39条:営業税還付の処理
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