台湾会計税務

移転価格税制

移転価格とは、企業のグループ内価格(関連会社間取引価格)をいいます。たとえば、日本の機械メーカーが台湾で自社の機械設備を販売する際の販売価格を通常の取引価格と異なる金額に設定すれば、一方の利益を他方に移転することが可能となります。この移転価格の設定次第で、日本と台湾で支払う税金が大きく変化することになります。

BEPSとは

BEPS(Base Erosion and Profit Shifting=「税源浸食と利益移転」の略称 )とは、多国籍企業が、国際的な税制の隙間や抜け穴を利用した租税回避により税負担を軽減している問題のことです。BEPS 問題への対処として、OECDはBEPSプロジェクトを公表し、移転価格の文書化と提出が義務化されました。

移転価格税制とは

移転価格税制は、企業の関連会社間取引を通じた所得の海外移転を防止するために、海外関連企業との取引が通常の取引価格(独立企業間価格)で行われた前提で所得を再計算し、課税する制度です。日本と台湾の独立企業間価格の算定方法は、OECD移転価格ガイドラインにおいて国際的に認められた方法となっています。

移転価格文書の必要性

多くのOECD加盟国では、移転価格文書化を義務付けています。文書化による企業の海外関連会社取引の詳細説明と分析結果の提示により、税務当局による調査の長期化や推定課税、二重課税のリスクを回避・軽減できるとされています。

台湾におけるBEPSの対応

2017年11月13日に改訂された「営利事業所得税に係る通常の処理に適合しない移転価格審査準則」によれば、BEPSに従い、①ローカルファイル(移轉訂價報告)、②マスタファイル(集團主檔報告)、③国別報告書(國別報告)の提出が求められます。

台湾におけるローカルファイルの作成基準は、年間売上高が3億元以上または国外関連者間取引の合計金額が2億元以上としていますが、同基準に満たない場合であっても年間売上額が3,000元以上ある企業は法人税申告書内に関連者間取引の情報開示が求められます(簡易報告書)。

ローカルファイルは、関連者間取引における取引価格の妥当性を説明する文書です。移転価格の設定に疑義がある際、当局との交渉材料として予め準備される企業も多いようです。

 

①ローカルファイル

②マスタファイル

③国別報告書(CbCR)

     
報告対象 独立企業間価格を算定する為の情報 グループの活動の全体像に関する情報 国別の活動状況に関する情報      
主な内容
  • 組織図
  • 経営戦略
  • 主要な競合他社
  • 主要関係取引
  • 移転価格算定根拠
  • 財務諸表
  • グループ組織図
  • 事業概要
  • 無形資産情報
  • グループ内金融活動に関する情報
  • グループ全体の財務・納税状況

各税務管轄地での下記情報を報告

  • 税収入、所得、税額、資本金情報
  • 従業員数
  • 有形資産額
  • 主要事業
     
作成義務者 親会社・子会社 親会社 最終親会社      
日本 ①ローカルファイル ②マスタファイル ③国別報告書(CbCR)      

提出期限

税務署からの要請があった場合、45日以内に提出が求められる。 最終親会社の会計年度終了の翌日から一年以内      

作成基準

国外関連者間取引の合計金額が50億円以上(無形資産取引の場合は3億円以上)に達した場合、作成義務がある。 年間連結売上高1,000億円以上の場合は作成義務がある      
台湾 ①移轉訂價報告(ローカルファイル) ②集團主檔報告(マスタファイル) ③國別報告(国別報告書)      
提出期限

当局からの要請があった場合、1ヵ月内に提出が求められる

最終親会社の会計年度終了の翌日から一年以内      

作成基準

年間売上高が3億元以上または国外関連者間取引の合計金額が2億元以上に達した場合、作成義務がある。

※但し、作成基準を満たさない場合でも、年間売上高が3,000万元以上の事業所は法人税の申告書内に関連者間取引の情報を開示する必要がある(簡易報告書)。

年間売上高が30億元以上または国外関連者間取引の合計金額が150億元以上ある場合は作成義務がある

年間連結売上高270億元以上の場合は作成義務がある

     

 

*簡易報告書について

年間売上高が3,000万元以上の事業者は、国外関連者間取引の概要や取引先について所定の様式(下記リンク参照)に基づく情報開示が必要です。関係会社リスト 関係会社間債権債務 関係会社間取引概要 関係会社間取引額 関係会社明細 多国籍企業グループ会社概要

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