IPO
IPO
新規株式公開(IPO)とは、創業者やその家族等の少数株主にのみ株式の保有と売買を限定している状態から、市場を通して不特定多数の投資家が売買に参加できるようにすることをいいます。台湾には台北証券取引所(TWSE)と新興市場の証券店頭売買センター(TPEx)の二つの取引所があります。
TWSEとTPExでは審査基準が異なります。TPExは最低資本金や収益力の基準が比較的緩く、主に比較的小規模な企業が株式公開しています。このため、時価総額や売買代金はTWSEの数十分の一程度となっています。
上場または店頭公開に先立ち、証券店頭売買センター(TPEx)が運営する興櫃市場(Emerging Stock Board)への6か月間の登録、または幹事証券会社による6か月間の指導必要とされます。
TWSE、TPEx及び興櫃市場について
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TWSEとは:
日本の東証に相当する市場であり、台湾証券取引所(台灣證券交易所股份有限公司)が運営しています。審査基準は最も厳しいですが、資金調達力のアップやブランド力、社会的な信用力が高く、台湾のグローバル企業はほぼここに上場しています。 -
TPExとは:
旧GTSM(Gre Tai Securities Market)を引き継いだもので、成長ポテンシャルの高い企業新規上場及び資金調達する際の取引所として利用されています。業態としては、新興ハイテク産業、バイオテクノロジーや医療産業、クリエイティブ産業、中小企業及び零細企業が中心となっています。
- 興櫃市場とは:
一定の条件を満たす株式公開会社の有価証券を取引する市場です。企業が株式を上場させる前のプレIPO市場として位置づけられており、証券市場の関連法規の熟知と企業の知名度を高めることを目的としています。台湾企業が上場する際は必ず興櫃に一定期間登録する必要があります。一方、外国企業で自国で上場している場合には、興櫃市場での登録義務はありません。
上場までの流れ
上場及び店頭登録には、先に「興櫃市場」での登録が必要です。
ベンチャー企業向け-「戦略新版」と「創新版」
2021年7月に台湾ではベンチャー企業が資金調達をするための取引所として「創新版(台湾イノベーションボード、TIB)」と「戦略新版(パイオニアストックボード、PSB)」が開設されました。
戦略新版と創新版ではベンチャー企業の資金調達の利便性を重視し、登録・上場基準が一般版よりも大幅に緩和されています。このため投資家のリスクを回避するための措置として出資者を創業者または機関投資家、一定の財力を有する個人投資家に限定しています。
また、戦略新版の登録には会社の収益力や設立経過年数の要件が提示されていないものの、実際には簡易株式公開に際し二期分の財務報告書が必要であったり、証券取引所の内規でNTD1.5億以上の売上高が求められるなどある程度の実績が必要といえるでしょう。
- 戦略新版とは:
成長企業の上場と台湾の新興産業の育成促進を目的に「興櫃市場(プレIPO)」に設置されました。
戦略新板に上場する企業は、台湾政府の六大核心戦略産業(①情報通信及びデジタル関連産業、②5Gとデジタル・トランスフォーメーション、国家安全保障産業、③バイオ技術及び医療技術産業、④軍事国防及び戦略産業、⑤グリーン電力及び再生可能エネルギー産業、⑥重点物資供給を確保する民生及び戦略産業)及びその他新興成長企業とされています。 - 創新版(TWSE、TPEx)とは:
技術革新に基づく成長企業の育成促進を目的に「上市(TWSE)」と「上櫃(TPEx)」に設置されました。従来の市場に比べて上場基準が緩和されており、特にテクノロジー分野に特化した企業の上場に適しています。
創新板に上場する企業は、主にAI、IoT、ブロックチェーン、バイオ医療、再生可能エネルギーなどの分野に特化した企業が多く、創業期のスタートアップ企業から、成長段階にあるベンチャー企業までを対象にしています。
戦略新版・創新版の出資者要件
自然人の場合 | 法人の場合 |
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創新版の上場要件
第一類 | 第二類(バイオ・医療) | 第三類 | |
時価総額 | NTD 10億以上 | NTD 20億以上 | NTD 40億以上 |
売上規模 | 直近期でNTD 1億以上 | ||
運転資金 | 12カ月分 | 15カ月分 | 15カ月分 |
その他 | 新薬を製造する会社の場合、主力製品の第1相臨床試験済みであること |
外国人の台湾株購入について
外国人も台湾の上場株式を購入することはできます(台湾非居住者も可)。
指数先物取引による購入
通常、日本から海外市場の株式投資は、外貨建て投資となるため、原資となる日本円を外貨に交換する必要があり、交換時の為替レートの変動リスクがありますが、台湾加権指数先物では、台湾加権指数をそのまま円建て取引するため、日本人投資家にとっては通貨管理がしやすいというメリットがあります。
個別銘柄を購入
現時点で台湾株の個別銘柄を取り扱っている日本の証券会社は、アイザワ証券のみのようです。但し、取扱銘柄は台湾証券取引所(TWSE)株のみで、新興市場上場のTPEx株は取り扱っていないようです(2019年3月現在)。
用語説明
- 公開発行:
一般的には、企業の財務・業績状況を公開する(財務諸表を金融監督管理委員会証券先物局に提出する)ことを指します。 - 台湾加権指数先物:
台湾を代表するベンチマーク指数であり、台湾証券取引所に上場する普通株式全銘柄を対象とする時価総額加重平均型の株価指数です。 - TPEx 50 Index:
時価総額の合計で評価しファンダメンタルズの良い安定銘柄を対象に最も流動性の高い50社を選出した株価指数です。