台湾EC取引

台湾向け越境ECビジネスについて税務上の留意点を整理してご説明します。
以下は、台湾にPE(恒久的施設=現地法人等)を有さない日本企業による台湾企業(個人も含む)への販売を前提とします。

まず、税務上、取り扱う商材が「モノ」か「電子役務」により税目が異なります。

1. 「モノ」の場合=国際貿易に該当
  • 関連する税目:営業税、関税、貨物税等
  • 課税されるタイミング:営業税・関税共に台湾側での輸入時に税関で徴収される。但し、買手が台湾在住の個人消費者である場合は商品の引き渡し時に配送業者が税金分を徴収する。
2.「電子役務」*1の場合=役務提供に該当
  • 関連する税目:法人税(所得税)、営業税*2等
  • 課税されるタイミング:買手が支払時に源泉徴収して納付する(源泉所得税)。

*1「電子役務」:ネットゲーム、アプリ、音楽・映画ダウンロードサイト及びホテルの予約サイト等
*2 なお、インターネット広告等を台湾内で展開する場合には“台湾内での役務提供”に該当し、営業税が課税対象になります。

3. 外国(法)人の源泉所得税とは
  • 外国(法)人(台湾非居住者)が台湾域内で提供する役務に係る対価は、台湾源泉所得となります。非居住者への役務対価に係る源泉税率は20%です。買手(台湾居住者)が売手への送金時に20%分を控除する形で徴収されますが、別途申請により源泉税率を軽減することも可能です。
  • これは、2018年1月2日に交付された「台財稅字第10604704390號令規範外國營利事業的我國來源收入認定原則」の解釈令により、一定の要件を満たす電子商取引については販売価格ではなくみなし利益率(または実際コストに基づく利益額)と台湾域内での利益貢献度に応じて算出した利益をベースに課税するというものです。

「外国法人の電子商取引に係る台湾源泉所得解釈令要点」

  • 本来、販売価格を台湾源泉所得として直接20%が課されるのですが、本解釈令による申請を行うことで、下記の関連コストを控除後の利益を課税所得として税額を計算することができます。

(1)関連コストの控除

1. 実際に要したコストを証明する証憑類を提示できる場合にはこれを添付し実額コストで利益を計算する
2. 上記1.が提示できない場合には、同業者利益率30%(電子商取引に係る役務)で利益を概算する
3. その他要件を満たさない場合には税務当局の査定利益率で利益を概算する

(2)利益貢献度とは

  • 台湾に拠点を有さない外国法人については、台湾内の利益貢献度に応じた利益の調整が可能。但し、当該利益貢献度については所定の許可申請が必要。

1. 台湾内の利益貢献度の証明が可能な場合:当該貢献度を乗じて利益を調整する
2. 全取引または提供地および使用地が共に台湾内の場合:貢献度は100%とする
3. 上記の1.および2.のいずれにも該当しない場合:貢献度は50%とする

Facebook広告料の源泉税は6%に

(3)計算方法

  • 税額=販売価格×純利益率×利益貢献度×源泉税率(20%)
  • 本ケースの場合:1万元×30%×50%×20%=1万元×3%=300元

したがって本ケースの源泉所得税額は300元となります。

4. 営業税
  • 台湾域内で使用された役務は、営業税の課税対象となります。
  • 営業税の負担者は役務の消費者(買い手)になりますが、納付するのは役務提供者(売り手)となります。つまり、売り手が買い手から営業税を預かり、まとめて確定申告・納税するしくみとなります。

(1)売り手

  • 原則:申告が必要
    • 電子役務対価に係る営業税は2017年5月1日から課税開始となっています。外国法人であっても所定の申告・納税手続を行う必要がありますので留意が必要です。なお、契約日が2017年5月1日以前の場合には対象外となりますので営業税は課されません。
    • 課税対象の外国法人は、台湾の税務当局にて税籍登録が必要です。登録は自社名義でも台湾法人による代理登録のいずれも可能です。営業税の計算は、申告月の月末のレートを使用して台湾ドルで概算します。違反した場合には罰金が科せられますのでご注意ください。【営業税法第28条第1項】
  • 少額輸入貨物:申告免除
    • 年間(暦年ベース)売上額がNTD 48万以下の外国法人業者は、少額輸入貨物の免税規定により営業税の申告は不要です。

(2)買い手

  • 原則:貨物引取り時に納付する
    • 原則、貨物輸入時に税関が郵便事業会社または通関業者から営業税を徴収し(営業税法第41条)、同業者は買受人から貨物の受取時に仮払いした営業税を徴収します。
    • なお、買受人が個人の場合であっても、所定の金額を超える場合には、申告納付が必要となります。未納付の場合、後日税務当局から納税通知書が送付されます。
  • 少額輸入貨物:申告免除
    • 1つの包装に梱包された輸入貨物の課税価格の合計額がNTD2,000以下(半年で6回を上限とする)の場合、少額輸入貨物の免税規定により営業税、関税及び貨物税は免除されます。但し、ただし、同一差出人から同一名宛人に、同一時期に分散して配送されたもの等は、当該分割されたすべての郵便物の課税価格を合計したものになります。

5. ケーススタディ

(例)外国法人A社が自社サイトでインターネットゲームを提供し、台湾人に1万元で販売する場合

1.A社の収益が台湾源泉所得に該当するか

即時性、相互性、便利性、経常性を伴う電子商取引(インターネットゲーム)を台湾内の個人に提供し獲得した報酬は台湾源泉所得に該当します。

2. 台湾での課税所得

A社は「外国営利事業の越境電子役務取引課税所得税」の標準利益率30%を適用し課税所得を概算します。なお、台湾内の所得獲得貢献度は別途許可申請により50%となりました。

台湾内源泉所得=1万元×30%×50% =1500元

3. 台湾での税金

  • 法人所得税:1500元×20%=300元(源泉所得税は20%)

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