外国法人の電子商取引課税

外国法人の電子商取引が台湾で課税対象となるケース
  • 外国法人が台湾内で提供した役務対価は、台湾内源泉所得に該当するため、原則、源泉税(所得税)と営業税が課されます(但し少額取引は免除)。
越境電子商取引(越境EC)とは?
  • 国境を超えて行われるECサイトの取引のことを意味します。 インターネットを経由して販売されるオンラインゲームや音楽ストリーム、ショッピングサイト、宿泊予約サイトが含まれます。
個人向けの販売も課税対象に
  • 従来は、外国法人が台湾で提供した電子役務については、買手が法人の場合にのみ源泉徴収されていたため、個人向けの電子役務は実質的に免除されていました。
  • しかし、これでは外国法人よりも台湾法人が課税上不利になるとし、2018年1月に解釈令「財政部107年1月2日台財税字第10604704390号令」が公布され、外国法人も台湾法人と同様に課税されることになったのです。
源泉税と営業税の課税範囲
  • 【営業税】は、台湾内において消費される物品・サービスの販売、提供を課税対象とした「消費地課税主義」です。
  • 【源泉税(所得税)】は、台湾内PEまたは台湾内源泉所得を対象とした、「属人兼属地主義」です。
  • したがって、台湾にPEをもたない外国法人が台湾の消費者に販売した電子役務は、提供地が台湾内となるため、営業税と源泉税(所得税)の課税対象となります。
源泉税の計算
  • 外国法人の源泉税は、課税所得に非居住者源泉税率20%を乗じて計算します。
課税所得の算定
  • 外国法人の課税所得は、計算根拠を示すエビデンスの有無により、実額ベースまたは標準利益率のいずれかで概算します。

<全てのエビデンスが揃っている場合>

課税所得額=(営業収入ーコスト)×台湾内利益貢献度+営業外損益

<一部の主要エビデンスのみがある場合>

課税所得額= 営業収入×同業者標準利益率×台湾内利益貢献度+営業外損益

<エビデンスがない場合>

課税所得は税務当局が定める同業者標準利益率または実態に即した概算となります。

同業者標準利益と台湾内利益貢献度
同業者標準利益

電子商取引の標準利益率は30%です。

台湾内利益貢献度
  • 外国法人が海外も含めた全営業収入に占める台湾内利益貢献度を別途証明する場合を除き、電子商取引の提供地と使用地により、50%~100%を利益貢献度として定めています。
  • 電子商取引の提供地と使用地のいずれも台湾内の場合:100%
  • 提供地と使用地のいずれかが台湾内の場合:50%
適用には事前申請が必要
  • 同業者標準利益と台湾内利益貢献度を適用するには事前申請が必要となります。事前申請がない場合、営業収入がそのまま課税所得となるため、源泉所得税は高くなります。
  • 事前申請には、台湾内で費消したコスト計算のほか、契約書、ビジネスフロー、会計士監査報告書、移転価格報告書等が求められます。
事前申請の届出先
  • 源泉徴収義務者(支払元台湾法人等)経由で申請する場合:源泉徴収義務者所在地の管轄税務当局
  • 外国法人自身で申請する場合:国税局
  • 代理人(会計事務所等)経由で申請する場合:代理人所在地の管轄税務当局
営業税の計算
  • 通常、台湾内の商取引に対し、販売価格に営業税5%が上乗せされますが、当該役務の提供先が台湾の課税法人である場合、例外的に営業税が免除されます(営業税法36条)。
  • 一方、個人向けの販売に際しては、上記免除規定がないため、原則、販売価格に5%分を加算して請求することになります。
外国法人の税籍登録要件について
  • 提供する役務の買手に台湾人(個人)が含まれる場合で、かつ、当該個人向けの営業収入が年間でNTD48万(日本円で約165万円)を超える場合、営業税法28条-1及び税籍登記規則に基づき、税籍登録が必要になります。
  • 税籍登録した外国法人(または代理人)は、法人所得税の確定申告(翌年5月1日~5月31日)と営業税の申告(2ヵ月に1回)が必要です。
  • なお、買手が法人の場合には、税籍登録は不要です。代わりに買手の法人が支払の際、源泉徴収・中途申告(支払日から10日以内)を行います。
具体例から電子商取引課税を理解する
1. 日本のオンラインゲームを台湾人が購入する場合

日本のゲーム会社が自社サイト内でオンラインゲームを販売し、これを台湾人がNTD10,000で購入した場合の課税関係をみてみましょう。

【ゲームサイト(日本法人)の営業税】

  • 個人向け電子役務収入が年間でNTD48万(日本円で約165万円)を超える場合には、税籍登録が必要になります。
  • また、買手は課税法人ではなく個人消費者ですので、営業税法35条に基づき5%の営業税が課されます。

【ゲームサイト(日本法人)の源泉税】

  • 台湾内源泉所得の判断:本件は、台湾内で使用された電子役務であるため、台湾内源泉所得に該当します。
  • 源泉所得の計算:事前申請を行い、同業者標準利益率と台湾内利益貢献度を適用する場合、課税所得はNTD10,000×30%(同業者標準利益率)×50%(台湾内利益貢献度)=NTD1,500となります。

*提供地は日本、使用地は台湾であるため、台湾内利益貢献度は50%

  • 課徴方法:本件では、税籍登録した外国法人という前提のため、翌年5月1日~5月31日までの期間に確定申告を行います。税額はNTD1,500(課税所得)×20%=NTD300です。
2. 台湾企業(広告主)の依頼を受けて日本の広告会社が制作したインターネット広告を台湾内で配信する場合

台湾法人(広告主)の依頼を受けて日本法人が制作したインターネット広告を台湾内で配信した場合の課税関係をみてみましょう。日本法人は台湾法人から広告料NTD10,000を授受するものとします。

【広告会社(日本法人)の営業税】

  • 本件の買手は課税法人であるため、営業税法36条に基づき営業税は免除されます。

【広告会社(日本法人)の源泉税】

  • 台湾内源泉所得の判断:本件は、台湾内で使用された電子役務であるため、台湾内源泉所得に該当します。
  • 源泉所得の計算:事前申請を行い、同業者標準利益率と台湾内利益貢献度を適用する場合、課税所得はNTD10,000×30%(同業者標準利益率)×100%*(台湾内利益貢献度)=NTD3,000となります。
    *提供地及び使用地のいずれも台湾内であるため、台湾内利益貢献度は100%
  • 課徴方法:本件では、買手が法人であるため、買手の支払時に源泉徴収して納税します。税額はNTD3,000(課税所得)×20%=NTD600です。
3. 日本人旅行者(個人)が日本の旅行サイトを経由して台湾のホテルを予約する場合

日本人旅行者は日本の旅行サイトに宿泊代金NTD10,000を支払い、同旅行サイトは手数料20%(NTD2,000)を控除後の残金を台湾のホテルに支払う場合の課税関係をみてみましょう。

【旅行サイト(日本法人)の営業税】

  • 個人向け電子役務収入が年間でNTD48万(日本円で約165万円)を超える場合には、税籍登録が必要になります。
  • また、買手は課税法人ではなく個人消費者ですので、営業税法35条に基づき5%の営業税が課されます。

【旅行サイト(日本法人)の源泉税】

  • 当該旅行サイトの台湾源泉所得を使用料 NTD2,000とします。但し、契約書等の必要なエビデンスが提示できない場合には宿泊代金NTD10,000が課税対象となるので注意が必要です。
  • 台湾内源泉所得の判断:本件は、台湾内で使用された電子役務であるため、台湾内源泉所得に該当します。
  • 源泉所得の計算:事前申請を行い、同業者標準利益率と台湾内利益貢献度を適用する場合、課税所得はNTD2,000×30%(同業者標準利益率)×50%(台湾内利益貢献度)=NTD300となります。

*提供地は日本、使用地は台湾であるため、台湾内利益貢献度は50%

  • 課徴方法:本件では、税籍登録した外国法人という前提のため、翌年5月1日~5月31日までの期間に確定申告を行います。税額はNTD300(課税所得)×20%=NTD60です。

<注意>上記例にある利益貢献度はあくまでも概算です。実際には税務当局が取引の実態から判定してきめますので税金コストを試算する際には税務当局または専門家に必ず確認してください。

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