台湾で法人の利益を株主に配当する場合、株主が台湾居住者(法人、個人)か非居住者(外国法人、外国人)かにより課税関係が異なります。
株主が台湾居住者の場合
(1)法人:台湾法人が内国法人から配当等を受けた場合、その受取配当等は課税所得の益金に算入しませんので課税されません。
(2)個人:配当時に最高28%の源泉税が課されます。
株主が台湾非居住者の場合
法人・個人を問わず、非居住者への配当時には21%の源泉税が課されます。但し、日台租税協定の軽減措置適用により10%まで軽減することも可能です。
その他
例えば株主が外国法人の場合、台湾から日本への海外送金コストはかなり負担になります。そこで、株主である外国法人が新たに台湾支店を設置し、同支店の口座名義で配当金を受け取ることで送金コストの削減ができるのではないのか、という論点があります。支店側の会計処理としては、 (借)現預金/ (貸)本支店勘定 となります。
確かに支店で配当金を受け取る場合には、台湾国内送金となるため送金コストを節約することが可能です。しかし、支店名義とする際には以下のデメリットがあるのです。
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日台租税協定上の配当源泉税の軽減措置を適用できない:本来、非居住者株主への配当には原則21%源泉税が課されますが、日台租税協定の軽減措置により10%まで引き下げることが可能です。しかし、支店名義で受け取るとこの申請が許可されません。
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資金の用途制限:台湾支店が受け取った配当金を登録運転資本(支店の資本金に相当)や他事業への再投資に使用することはできません(ただし、運転資本として使用することは可能)。