近年、個人事業主や中小企業レベルでも増えてきた日本人の台湾での営業活動についてお問い合わせが増えてきましたので①就労許可証と②税金の二つの側面から留意点をご説明したいと思います。まずは②課税関係をご説明いたします。
1.台湾内で獲得した源泉所得
所得税法の規定により、非居住者(外国人)であっても台湾源泉所得がある場合には台湾で課税されます。ここでいう台湾源泉所得とは、台湾内で役務を提供し獲得した対価も含まれます(所得税法8条-3)。
2.具体例
例えば、据付工事等で台湾に出張ベースで滞在し暦年の累積滞在日数が100日となった場合には、台湾で給与支給を受けていなくても日本払いの給与に対し100日/365日で按分計算した金額が課税所得になります。
3.海外所得が課税対象となるケース
当該非居住者の台湾における累積滞在期間が90日を超えた場合には、たとえ海外で支払をうけた所得であっても台湾で何らかの生産活動を行ったものとみなされますので、海外所得(例えば日本で支払われる給与等)に対しても、台湾側で課税されることになります。
4.課税所得の計算
海外所得に対する課税可否と計算方法は暦年ベースの累積滞在期間により異なります。累積滞在期間が90日以下の場合には課税対象外となりますが、91日以上183日未満の場合には一律18%で、183日以上の場合には累進税率(5%~45%)で計算します。なお、課税所得は海外所得を台湾での滞在期間に応じて按分計算します。
5.その他留意点
その他、滞在日数が183日以上の台湾居住者はミニマムタックス税制を考慮する必要があります。これは、「所得基本税額条例」に基づき、海外払いの課税所得が600万元(台湾ドル)を超える場合には別途計算方法で算出した基本所得(一定範囲の非課税所得や免税所得等を加えた基本所得)に20%を乗じた税額と通常の計算方法による一般所得税額を比較し、ミニマムタックス税制での計算額が大きい場合にはその差分について追加納付するというものです。