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台湾ビジネス M&A 法人税(営利事業所得税)

台湾における事業譲渡課税

M&Aといえば株式譲渡が一般的というイメージがありますが、未上場のローカル台湾法人を対象企業とする場合には、簿外債務を引き継ぐ必要がない、という点において「事業譲渡」を選択するケースが多いといえます。もちろん、買手企業が上場企業等で株主総会の特別決議での同意を得るのが困難な場合や対象会社の取引先や従業員の引継ぎが多岐にわたる場合には株式譲渡の方が手続きは簡素といえますが…。

ただ、特に未上場のローカル台湾企業の場合ですと、二重帳簿(いわゆる税務用の帳簿と内部管理用の実態帳簿の二つを具備)の問題があり、実態を理解しにくいほか、将来にわたって二重帳簿や不正な取引行為から派生する、潜在的リスクが存在するため、必要な事業のみを切り離して譲り受ける「事業譲渡」をとるのが好ましいといえるでしょう。その他のメリットとしては、業種にもよりますが、対象企業がIT・Webや飲食業の場合、設備投資は一般的に小規模ですから資産価値は低い傾向にあります。一方、買収価格は将来の獲得利益を基に計算するわけですから、将来性のある事業であれば会計上は多額なのれんが計上されます。のれんは5年間で償却して損金とすることができますので、理論的には簿価と同額で買収することができる(=5年間で取得価額と簿価の差額を償却するイメージ)といえます。

デメリットとしては、事業譲渡の場合には、無形・有形資産問わず(営業権も含む)に5%の営業税が課されるほか、各資産の評価設定や従業員への事前通知(大量解雇従業員保護法)、取引先への統一番号変更等がありますので予め価格交渉やスケジュールに織り込む必要があるでしょう。

なお、実務上は、簿価(申告書添付の決算書)を時価と見なして資産・負債の売買取引した場合には売却益への課税はありませんが(営業税は課税)、帳簿価格を上回る価格を時価として買収した場合には、買手側にのれんが計上されます。仮に買手が台湾法人(日系在台子会社等)であり、のれん償却分を損金算入したい場合には、台湾公認会計士の資産評価報告書等の客観的依拠が必要になります(報告書がないと5年間にわたる償却分が否認されます)。

一方、簿価を大幅に下回る価格で取引した場合には、低廉購入ということで買手側に営業税及び法人税が追徴されるリスクがありますのでご留意ください。

整理すると、

(1)取得価格が簿価よりも高い場合
買手側:のれん(資産)が発生し、5年で償却費用化
売手側:売却益(財産取引所得)に対して法人税17%と売却価格の5%の営業税が課される

(2)取得価格が簿価よりも低い場合
買手側:当該取得価格で資産計上(但し合理的な説明が必要。不当に低廉の場合には追徴あり。なお、負ののれんを5年償却して益金算入することはしない)
売手側:特になし(法人間の取引の場合には贈与税は非課税となる)

 

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