インターネットの普及により、日本から海外市場への訴求は以前よりも気軽になりました。ネット経由での商品販売や電子書籍・ゲームのダウンロード等様々です。
一方、近年の日本食ブームを背景に急増している外食産業や日本産の農水産物といった生鮮食品等は、やはり現地に拠点を設置するか現地パートナーと提携してビジネスを発展させる必要があります。
さて、台湾への進出を考えた場合にまず最初に検討しなければならないのが、進出形態ですが、出資状況や台湾での事業内容、将来の事業計画等により各社が違う判断になるかと思います。
まずは、ポイントを整理しながら自社の台湾ビジネスがどちらの形態をとるべきか客観的に判断されるとよいと思います。
①②:支店にすると台湾支店の所得は日本本社で合算申告する関係上、最終的な税負担は日本の税率に依拠することになります(もちろん台湾で納付済みの税金は外国税額控除として二重課税を回避することが可能)ので、税率の高い日本に本社がある場合には全体の税負担は大きくなります。一方、台湾支店で発生した赤字を本社と合算することも可能ですが、現地法人では日本親会社と別法人の扱いになりますので、合算申告はできません。
③:利益の還流方法として、支店の場合には本支店間の送金扱いとなり非課税ですが、現地法人の場合には親会社(=株主)への配当となりますので配当時に源泉所得税が課せられます。2017年以降は日台租税協定により従来の20%→10%に軽減されています。
④:損害賠償が生じた際の法律上の責任の範囲ですが、たとえ台湾支店で発生した責任であっても最終的には日本本社がこれを負担しなくてはなりません。一方、現地法人の場合、別法人ですので現地法人で負うべき責任が親会社に及ぶことはありません(あっても株主として負担する範囲に限定されます)。
⑤:例えば、台湾拠点を設置する目的(事業内容)が、台湾における各種入札事業のためならば、実績のない現地法人よりも資金力・実績ともにアピールできる支店にした方が良いものと思われます。