昨今、多くの自治体及び企業様で台湾向けに地元食材や特産物等の食品を輸出する動きが活発化しています。
これは、増加する来日台湾人観光客の日本のグルメに対する高い認知度や旺盛な消費力反映しての動きだと思いますが、ご存知のとおり台湾では関東6県(福島、茨城、栃木、群馬、千葉県)産の食品については、東日本大震災時の原発事故を受け厳しい輸入規制をしいています(なお、2015年5月からは日本産全ての食品について産地証明の添付が義務化されています)。
しかし、実は関東6県に限らず他県産の食品についても水際で台湾側の輸入許可が下りないといったケースが少なくありません。その主な要因は日台間における食品安全基準の違いによるものです。特に残留農薬の基準値については台湾の方が日本よりもより厳格だとも言われています。例えば、苺に関して言えば台湾の残留農薬の有効成分の基準値は日本の100分の1に設定されているものもありますが、一方で残留農薬分析の対象範囲が日本では可食部のみであるのに対し、台湾では全体に行われているため基準値の取扱い方が非常に難しくなっています。
残留農薬に限らず、日本ではHACCP(ハサップ*)が推奨にとどまっているのに対し、台湾を含む諸外国では義務化されている等、食品の安全管理基準が統一化されていないことで相手国側の輸入検査に通らなかった、または必要以上に検査時間を要してしまったという事例が多いようです。
日本産の食品ニーズが多いだけに一見、簡単そうに見える台湾への食品輸出ですが、検査手続(産地証明、放射線検査証明書等)やその対応策についてはジェトロ等の専門家のアドバイスを受けながら入念に準備することが不可欠だといえるでしょう。
*厚生労働省HPより抜粋:HACCP とは、食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染等の 危害をあらかじめ分析( Hazard Analysis ) し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるかという 重要管理点( Critical Control Point ) を定め、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生 管理の手法です。この手法は 国連の国連食糧農業機関( FAO )と世界保健機関( WHO )の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され,各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。