世界銀行が毎年発表するビジネス環境に関する年次報告書「Ease of Doing Business report」によると、ビジネス環境ランキングで台湾は総合16位と大きく健闘しました。一方、日本は34位と新興国のタイやマレーシアよりも後塵を拝する結果となっています。
同報告書は、毎年、世界の約190カ国・地域についてビジネス活動における規制や制度的環境を比較評価し、各国のビジネスのしやすさをランキング化しているもので、「ビジネスのしやすさ」「事業の始めやすさ」「建設許可」「電力事情」「不動産登記」「資金調達」「少数株主の保護」「税金」「海外貿易のしやすさ」「契約執行」「破綻処理」の11の指標で点数化され、評価されます。
シンガポールや香港はアジア進出のハブ的存在として認知されていますが、実は台湾の方が圧倒的に優位な分野がたくさんあります。同報告書でも台湾は「建設許可」「電力事情」「不動産登記」「契約執行」の項目でシンガポールと香港よりも上位に評価されています。
なお、台湾が劣位となっている項目は「税金」ですが、主に財産譲渡に関する税金(キャピタルゲイン課税)に関するものです。台湾の法人税率はシンガポール・香港とほぼ同等水準の17%となっています(シンガポール17%、香港16.5%)ので、製造や物販を中心に考えた場合には、低い法人税率と安定したインフラのある台湾が魅力的だと思います。
一方、他国にも展開している場合やM&Aを頻繁に行う企業の場合には、シンガポールや香港に持株会社(ホールディングカンパニー)を設置し、実働部隊としての企業を台湾のようなインフラ環境の整備された地域に置くというのがよいのかもしれません。