日本人駐在員給与の所得税を会社負担した場合の税務上のインパクトについてご説明したいと思います。
結論から申し上げますと、全体の税金コストは増えます。これは、会社負担の個人所得税は間接的な報酬の付与と見なされるからです(なお、台湾の会計上当該税金コストは”賞与”計上されます)。つまり、税金を会社負担にした場合、駐在員個人の税負担はゼロになるものの、加算税額分についてさらに税金がかかるため全体の税コストは増加することになるのです。
以下、具体例を見ながら比較していきましょう。
例)2017 年度の給与所得 NTD300万(額面)とした場合
1) 台湾現地法人が駐在員の個人所得税を負担した場合(会社負担)
本来個人が負担すべき税金を法人が負担することになりますので、間接的な報酬支給に該当
- 年末の確定申告時(超過累進税率を30%と仮定);
- 給与所得 428万 (300万/0.7)
- 個人所得税 128万(428万×30%)
- 台湾法人での費用負担:428万(給与300万、賞与128万)
- 全体での税金コスト:128万
2) 個人所得税を個人負担とした場合(本来のケース)
- 年末の確定申告時(超過累進税率を30%と仮定);
- 給与所得 300万(マークアップ不要)
- 個人所得税 90万 (300万×30%)
- 台湾法人での費用負担:300万(給与300万)
- 個人の税金負担:90万
- 全体での税金コスト:90万
【結論】会社負担にすると税金コストはNTD 38万増加(128万―90万)