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人事労務

台湾の育休事情~データの裏に隠された実態

日本に比べて台湾では、出産後もすぐに職場復帰する女性が多いのですが、どうやらその実情は復帰の環境が整備されているというよりも、”致し方なく復帰せざるを得ない”という事情があるようです。早い人では産後1カ月で職場復帰する人もいますが、おおむね2~3カ月で復帰するのが一般的であり、この事実だけをみると「一億総活躍、女性の活用を」とスローガンを掲げている日本よりも先進的なようです。

台湾労働局(日本の厚労省に相当)の統計データによりますと、昨年度の台湾における育休取得後の職場復帰率は9割に上り、そのうち従前と同じ職場に復帰した割合は7割と非常に高い水準にありました。当局ではこの統計結果を引用したうえで、台湾における女性のキャリア形成において出産が与えるマイナスの影響は見受けられないと説明していましたが、2016年11月4日付の風媒体によれば、実態はそれほど楽観視できないとのことです。

台湾では2009年に「性別平等条例」(日本でいう男女雇用機会均等法に相当)が改訂され、有給の育休休暇が制度化されました。同職場に在籍1年以上の従業員は同従業員の子女が3歳に達する前まで最大2年間の育休を申請できるというものですが、実際には妊娠が発覚した段階で減給や降格等さまざまな方法で退職を促すことが多いため、育休を申請すること自体が極めてハードルが高いといえます。

つまり、統計データの結果が示す育休取得後の職場復帰率が9割というのは、そもそも復職可能であることを前提とした従業員に限定した調査結果であり、こうした条件に合わない従業員は最初から育休申請を行っていないというのです。婦女新知基金会が実施したアンケート調査によれば、48%の女性が育休申請をする際に例えば、復職後も会社から指示された仕事を必ず遂行すること等、何らかの理由で経営者側から不利益な条件を示唆されており、うち29%の女性は育休中の代理の従業員を自分で探すように命ぜられるほか、27%の女性はそもそも申請という選択肢はないと認識しているという結果となりました。

台湾の日本子会社については、台湾の一般ローカル企業よりも従業員の福利厚生に力を入れていることが多く、休暇について制度上整備されているケースは多いのですが、実際に運用するのは現地スタッフのマネージャー層の方たちです。実際に彼らの部下から休暇を申請された際にどのような裁量で判断を行っているかについて、きちんと把握したほうがよいでしょう。制度をきちんと運用していなければ立派な規程も絵に描いた餅となってしまい、優秀な人材を流失させる原因にもなりますね。

 

 

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