日本企業の台湾子会社でよくある支払い項目の中に、技術使用料や経営指導料があります。
これらの費目は親会社からサポートを受けた際(バックオフィスや業務の一部代行)にその対価として支払われるものですが、料率や金額を自由に設定できるため、たとえば親会社での利益を上げるためにわざと過大に請求することで、子会社を恣意的に赤字にすることが可能です。
台湾税務当局の立場からみますと、台湾域内での課税所得の減少につながりますので、こうした恣意的な利益操作は見過ごすわけにはいきません。
したがって、たとえ親子会社間で経営指導にかかる契約書を締結していても、その対価の算定が客観的根拠に基づいていないなど不明瞭である場合には税務当局から損金算入を否認されてしまうケースがあります。このため、親会社が請求に際して算定の基準としたエビデンス(外部業者コスト等)や、場合によっては当該費用が発生した国の公認会計士による合理性を示す証明書が必要となります(ただし、証明を発行してくれる会計士はほぼ皆無と考えてよいでしょう)。
そこで、所得税法25条では一定の条件を満たす場合において、原価費用の配分計算が困難な場合に財政部の認可を得ることで実際の所得額を計算することなく、みなし利益率を用いた申告を認めています。たとえば、技術サービス料の利益率は15%となります。これにより、例えば役務対価を日本に支払う場合、通常の源泉税20%を3%にまで引き下げることが可能になります(15%×20%)。ただし、欠損金の繰越控除はできません。