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税制優遇 法人税(営利事業所得税)

中小企業向け雇用・賃上げに係る損金加算措置

中小企業発展条例(以下「本条例」という)の第36条の2の改正に基づき、「中小企業の雇用拡大に関する給与費用加算控除実施要領」(以下「雇用拡大要領」)および「中小企業の賃上げに関する給与費用加算控除実施要領」(以下「賃上げ要領」)が改正されました。
本措置の適用期間は、2024年(民国113年)1月1日から2033年(民国122年)12月31日までです。

改正の主なポイント

1.中小企業としての資格要件

以下のすべての条件を満たす事業者が対象となります。

(1)関係法令に基づき設立された法人、有限責任事業組合(LLP)、または商業登記を行った個人事業者であること
(2)払込資本金または出資総額が新台湾ドル1億元以下であること
(3)常時雇用する従業員数が200人未満であること

2.適用要件

項目

雇用拡大要領(増員)

賃上げ要領(昇給)

対象となる一般従業員

フルタイム従業員の定期給与の月平均額、または65歳以上のパートタイム従業員の定期給与の月平均額、もしくは日給・時給が一定額以下であり、かつ中小企業と無期雇用契約を締結している台湾国籍の従業員

同左(※65歳以上の限定はなし)

適用要件

① 台湾国籍を有し、24歳以下(フルタイム)または65歳以上(フルタイム・パートタイム)の一般従業員を新規雇用していること
② 当該雇用が台湾国内で行われており、最低賃金以上の給与が支払われていること
③ 当該年度の月平均一般従業員数が前年より2名以上増加し、かつ給与総額も前年を上回っていること

当該年度の平均給与水準が前年より上昇していること

対象人数要件

2人以上

制限なし

年齢要件

24歳以下:フルタイム
65歳以上:フル・パートタイム

年齢制限なし

就業形態

上記年齢要件に従ったフル・パートタイム勤務

フルタイム・パートタイムのいずれも可

勤務地

台湾国内

制限なし

適用年度

当該雇用が行われた年度

賃上げが実施された年度

損金加算の対象額

新規雇用従業員に対する給与支払額

法定最低賃金の調整によらずに増額された定期給与または日給・時給の増加分(台湾国籍の一般従業員が対象)

損金加算割合

100%

75%

新設法人の適用可否

申請可能

申請不可

適用除外事項

1. 雇用先が台湾国外である場合
2. ダンスホール、キャバレー、バー、特殊カフェ等の事業を営む場合
3. 手形交換の拒否歴がある、または過去3年以内に納税義務を履行していない場合
4. 会社法第369条の1に基づく関連会社間の人員異動である場合
5. 雇用拡大が営業秘密の侵害や競業避止義務違反に該当し、法令違反が確定している場合
6. 過去3年以内に、労働・環境・食品安全に係る重大な法令違反がある場合

1. ダンスホール、キャバレー、バー、特殊カフェ等の事業を営む場合
2. 手形交換の拒否歴がある、または過去3年以内に納税義務を履行していない場合
3. 過去3年以内に、労働・環境・食品安全に係る重大な法令違反がある場合
4. 当該年度または前年に、実質的な賃上げが行われていない場合、あるいは形式上は賃上げであっても実質的には減給である場合

 

3.その他の留意事項

(1)一般従業員の給与額に関する基準について
経済部の公告(2024年12月31日付、経企字第11354001310号)によれば、「一般従業員の給与が一定額を超えていない」とは、以下の条件を指します。

    • フルタイム従業員:
       月平均の定期給与額が 新台湾ドル63,000元以下 であること。
    • パートタイム従業員: 以下のいずれかの給与形態に該当し、基準額を超えないこと。
      月給制:月平均給与が63,000元以下、かつ、1時間あたりの換算額が 394元以下 であること。
      日給制:月間の合計日給が63,000元以下、かつ、1日あたりの給与が 3,152元以下 であること。
      時給制:月間の合計時給が63,000元以下、かつ、1時間あたりの給与が 394元以下 であること。

(2)損金特別加算措置の対象となる給与費用の算出方法
対象となる給与費用は、政府からの補助金等を控除した後の実質的な支出額とし、税務当局が認定した金額を基準とします。

(3)損金加算額の上限について
損金の加算額は、当該年度の課税所得額を上限とします。

(4)課税所得が赤字(マイナス)である場合の取扱い
当該年度の課税所得がマイナスである場合には、本損金特別加算措置は適用されません。

(5)24歳以下または65歳以上の台湾籍の一般従業員を新たに雇用した場合、または台湾籍の一般従業員に対して給与を引き上げた場合における給与費用の損金加算額については、2024年1月1日に遡及して、営利事業の「基本所得額」に算入する必要があるものとされます。
※基本所得額とは、「所得基本税額条例」に基づき算定される課税ベースであり、一定条件下で別途課税が発生する場合があります。

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