近年、個人事業主や中小企業レベルでも増えてきた日本人の台湾での営業活動についてお問い合わせが増えてきましたので①就労許可証と②税金の二つの側面から留意点をご説明したいと思います。まずは①就労許可証からご説明いたします。
1.「労働許可証」が必要なケースとは
台湾で「営業活動」を行う非居住者(外国人)は、期間や内容に関係なく、必ず就労許可証が必要となります。ここでいう「営業活動」とは、対価を獲得するために活動した全ての行為を指しますが、視察や契約交渉等はこれに含まれません。
2.具体例
したがって、例えば、日本人が日本本社と台湾法人顧客間の契約締結のため、または市場調査のために台湾へ出張する場合には就労許可証の取得は不要です。一方、契約を履行するために台湾内で据付工事や監督業務、その他コンサルティング活動を行う場合には、台湾内での役務提供行為となりますので就労許可証の取得が必要です。なお、就労許可証と居留ビザは別のものです。居留ビザは滞在期間が6カ月を超えなければ不要です。
3.罰則
外国人が就業許可なしに台湾で就業した場合、3万~15万台湾元の過料が科され、かつ台湾域外退去が命じられます。なお、台湾人と結婚した外国人配偶者で居留許可を得た場合には就業許可は必要ありません。
4.具体的な申請方法
労働ビザの申請方法は、原則台湾に登記する法人が当該個人を招聘する形で行います。つまり、受入先の法人がない場合には就労許可証の申請はできません。具体的には(1)日本法人または日本人美容師が台湾に現地法人を設立し、当該法人を受け皿会社とする方法、もしくは(2)既存の台湾現地企業に受け皿になってもらう方法、のいずれかとなります。
5.申請要件
申請に際しては、招聘元の法人と申請者それぞれに以下の要件が定められています。
招聘元法人は原則50万元以上の資本金または年間300万元以上の売上高の水準を満たしていなくてはなりません。また、申請者は学歴とそれに応じた勤務年数が要求されます。例えば、新設法人が総経理1名分の就業許可証を申請する場合、法人の資本金50万元以上と申請者(大卒者の場合)の勤務年数2年以上、ならびに5万元弱の平均月給であることが求められます。