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源泉税

契約書の書き方で租税リスクを回避

台湾現地に拠点を持たない日本法人が台湾法人と非貿易取引(すなわち「役務取引」)を行い場合には、原則、源泉徴収税が課されます。
これは、日台間で下記取引が生じた際に、当該取引の受益行為が、相手国における源泉所得とみなされるからです。

一般的によく出てくるケースとしては、次のような支払いがあります。

・特許権や商標権等の無形資産に係る使用料(ライセンス料)を支払う場合
・設備機器や不動産のリース料などを支払う場合
・人的サービス(弁護士や会計士、フリーランスなど)の報酬を支払う場合
・技術サービスやデザイン料などを支払う場合
・配当を支払う場合
・借入金の利子を支払う場合 等

例えば、日本法人が台湾法人に設備機器を販売し、当該据付並びに試運転に係る技術指導を提供する「販売・役務契約」を締結したとします。
設備機器代金が200万で、技術サービス費用が100万とした場合、理論上は技術サービス費用(役務分)についてのみ源泉徴収税が課されるため、日本への送金額は200万(設備)+80万(サービス)=280万となるのですが、台湾税務当局では同一契約書内に記載されている機器設備代金も含めた金額を源泉徴収税の課税対象とみなす(判断する)ケースが多いことから(当該役務行為が設備購入の前提(不可分一体)とみなす為)、こうしたケースの場合にはできるだけ契約書を「販売契約」と「役務契約」の二つに分けてご準備されることをお勧めしています。

例えば日台租税協定上の短期免税や所得税法25条のみなし利益率による源泉税率の軽減を申請行う場合にも、上述のように課税対象を限定することでさらなる節税が可能です。

もちろん、理論上は役務対価に対してのみ源泉税の対象とされますので、同一の契約書にしても間違いではないのですが、税務当局から一括課税を指摘された場合の当局への説明と補足資料の準備の手間を考えると、予め当事者間で協議しておいた方が合理的かと思います。もちろん、単純に契約書を分ければいいというわけではなく、契約内容の詳細についても記述に留意が必要ですので、ご心配な場合はご担当の会計士にご相談されてみてください。

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