外国事業者に対する租税減免措置

1.外国事業者に有効な節税策
    外国事業者が台湾ビジネスを行う際に留意したい税務上のポイントは、”商材の種類”と”税制優遇策の適用可否”といえるでしょう。せっかく、台湾顧客を増やして売上を伸ばしたのに税金負担が重いままでは、いずれ競合他社に差をつけられてしまいます。
    特に、コンサルティングや技術供与等といったサービス(役務)を提供する場合には、台湾法人税の課税対象となり通常20%の源泉所得税が課せられますので、まずはこれに係る租税減免措置の適用可否をしっかり確認しましょう。
    実質的な税金コストがどのくらいになるのかが把握できれば、合理的な利益水準に基づく価格設定が可能になるでしょう。なお、「モノ」の販売=国際貿易の場合には台湾法人税の課税対象外ですので(営業税と関税等の課税のみ)、租税減免についてそれほど考える必要はないでしょう。
2.具体的な租税優遇策
    では、外国事業者が台湾消費者・事業者に対して役務提供する際に適用可能な租税減免措置には何があるのでしょうか。サービス(役務)内容はさらに以下のとおりに分類され、種類ごとに適用可能な減免措置が異なります。
1. 一般役務提供の場合で当該役務提供期間が183日以下の場合
    台湾にPE(現地法人等)を有さずに日本から台湾にサービス提供を行う場合で、その契約期間が183日以下の場合には日台租税協定上の事業所得に係る短期免税措置を申請適用することで源泉税率20%を0%に引き下げることが可能です(※申請は契約ベース)。
2. 一般役務提供の場合で、下記の要件のいずれかに該当し、当該役務提供期間が183日超の場合
    役務のうち、一定の項目については所得税25条で定めるみなし利益率を申請することで源泉税の納付額を実質3%にまで引き下げることが可能です。通常、源泉税の納付額は対価の総額に20%を乗じて算出しますが、同25条の申請によりみなし利益額に源泉税率を乗じた額を納付額とすることが可能です。なお、申請は契約書ベースで行いますので、同一の契約書から派生される限り、これに係る源泉所得税の実質税率は3%を使用することが可能です。申請許可を取得後、同許可公文書を所定の納付用紙に貼付して源泉税3%分のみを納付します。また、過去5年にさかのぼって還付を受けることも可能です。
    技術サービスに含まれる対象範囲は結構広いので、契約書の書きぶりを見直してみてはいかがでしょうか。サービス名とその内容を対象範囲に整合するように文言を変えることで節税に繋がります。

要件:

  • 本社機能が台湾域外にある事業者(日本企業等)
  • 台湾内で提供する業務が(1)国際物流、(2)建設工事の請負、(3)機器設備のリース業、(4)技術サービスを提供している
  • 原価費用の配賦が困難

【所得税法25条の対象項目】(外國營利事業申請適用所得稅法第25條第1項規定計算所得額案件審查原則)

3. 一般的なロイヤリティ(使用料)授受の場合
    特許・技術等の無形資産の使用対価であるロイヤリティ(使用料)に該当する場合、日台租税協定上の投資所得に係る減免措置を申請適用することで源泉税率を20%から10%に引き下げることが可能です(※申請は支払の都度必要)。
4. 外国の先端技術に係るロイヤリティ(使用料)場合
    台湾企業が保有しない外国(日本)事業者の最先端技術で、かつ、その使用が台湾の製造効率化に貢献するものと認められた無形資産については、所得税法4条第1項-21による免税措置を申請適用することで源泉税率20%を0%に引き下げることが可能です。これは、台湾国内に海外先端技術を導入するためのインセンティブとして政策上特別に認められたものです。
5. 台湾法人から受託した販売コミッション収入の場合
    例えば、日本法人が台湾法人から受託し、日本での販売代行に伴い台湾法人から売上に連動する販売コミッション収入を得る場合には、通常の海外法人の役務提供とは別扱いとなり、台湾源泉所得には該当しません。よって、源泉税は不要となります(「財政部650830台財稅第35817號函」より)。
    但し、下記に注意が必要です。

  • コミッションレートが高すぎないこと(5%~10%程度が目安です)
  • コミッションが定額制ではないこと
    なお、本件に関係なく台湾での暦年累積滞在日数が183日以上の場合には別途個人所得税が課されます

    申請を忘れた場合であっても、支払日から5年以内であれば過去に遡及して納付済みの源泉税の還付申請を行うことも可能です。還付分の振込先については別途申請により源泉徴収義務者以外の名義口座に指定することも可能です。